仮想私事の原理式

この世はワタクシゴトのからみ合い

「テニスの王子様」の「縮地法」について


 少年ジャンプ連載の「テニスの王子様」について、ちょっと書いておきたいことがある。「ネタにマジレス」のような気もするが、あれで勘違いをされるのも腹立たしいので。マニアックな内容なので解らん人も多いと思いますが、ご了承ください。

 ストーリー内では、最近は全国大会中らしく、主人公のチームが沖縄出身のチームと対戦してる。沖縄チームは、全員が沖縄武術の経験者で、「縮地法」という高速移動術を使って、普通なら追いつけないだろうというボールにも追いついたりするわけだが。


一つ言いたい。


縮地法は、『高速移動術』ではない。


 最近は少しおさまってきたように感じるが、甲野善紀さん等の登場以来、古武術の動きがブームになっている。「縮地法」というのも日本武術や沖縄武術中国武術に実際にあるのだが、重心や腰の高さを変えずに、地を蹴らずに重力を利用(膝の抜き等)して、相手との間合いを一挙動でまたぐようにして詰めるというものである(素人解釈)。

 真正面から真っ直ぐに向かってくるボールの距離感が掴みにくいように、目前の相手が動きの起こりを見せずにズームアップしてくると、人間は「来た!」と感知できず(または感知が遅れて)、いつの間にか間合いを詰められてしまう。

 逆に100m走のように走ったりすると、実際の速度は歩くよりも速くても、相手から見れば動きの起こりが見えてバレバレなので、武術では良しとされていない。

 つまり「縮地法」とは、相手の感覚に察知されないで間合いを詰めることで、相手に「いつの間に!?」と思わせる類の「速さ」であって、ダッシュよりも高速に移動しているわけではない。「膝の抜き」などの重力利用による瞬間的な初動の速さはあり、イチローなどの一流スポーツ選手は行っているが、「縮地」という意味ではない。

 だから人間ならともかく、飛んでくるテニスのボールに対して縮地法を使ったって、ボールは「いつの間に!」とか思ってくれないわけである。縮地法を使ったって、走って追いつけないボールに、歩いて追いつくわけがない。


 ……ただ、ある人は縮地法で5メートルを一挙にまたげたと言う。本当に5メートルも一挙に移動できれば、漫画のようなことも可能かもしれない。
 しかしそれって、助走無しで5メートル跳べるってこと? 5メートルってのは結構な距離ではなかろうか? 自分は、助走をつけても飛べる自信は無い。

 まぁ、もし縮地法で5メートル移動できる人を見ることが出来たら、上記のことは自分が誤りだったと認めようと思う。