仮想私事の原理式

この世はワタクシゴトのからみ合い

バッテリー2 あさのあつこ


 他にネタがない。これに頼っていると、そのうち紹介する本のネタもなくなるんじゃないかと少し心配になったが。なに、いざとなったら、森博嗣小説が20冊以上あるし、ガンダム小説も20冊くらいあるし、それでも足りないなら、持ってる漫画本を一冊ずつ紹介してったる。


 ということで、「バッテリー2」(あさのあつこ)である。読むのは3回目。


 中学の入りたての頃って緊張したなぁ…

バッテリー〈2〉 (角川文庫)
あさの あつこ
角川書店
売り上げランキング: 52149


「育ててもらわなくてもいい。誰の力を借りなくても、おれは最高のピッチャーになる。信じているのは自分の力だ―」中学生になり野球部に入部した巧と豪。二人を待っていたのは監督の徹底管理の下、流れ作業のように部活をこなす先輩部員達だった。監督に歯向かい絶対の自信を見せる巧に対し、豪はとまどい周囲は不満を募らせていく。そしてついに、ある事件が起きて…!各メディアが絶賛!大人も子どもも夢中になる大人気作品。

 この主人公は、少し流川に似ている……かも。と読んで思った。いや、もちろん違うが、考え方の一部とか似てるんじゃないかなぁ、と。今回は主役級の巧・豪の他に沢口・東谷という2人の存在が目立つ。もめる巧と豪をなんとかしようと気配りをする沢口や、沢口を庇う東谷にはちょっと泣いた。決しておまけの脇役ではない存在なんだな。描かれるべき対象なんだと思う。
 あとがきで、著者は、成長物語にも友情物語にもするつもりはない、と述べていた。確かに、この話は決して道徳的ではないと思う(バッテリー3でもそう思った)。「未熟な少年が成長し友情の大切さに気づく」なんて話ではない(そういう成分もあるが)。いろいろと尖ったままの少年を、「未熟」とか「不完全」というレッテルを貼り付けずに、荒ぶる「少年の魂」の生き様そのものを描こうとしている。3回読んで、ようやく思いついて納得した(……大げさだったかな)。