仮想私事の原理式

この世はワタクシゴトのからみ合い

勝間和代はディベーター  勝間和代 VS ひろゆき

 面白かった。

デキビジ 勝間和代 VS ひろゆき
http://d.hatena.ne.jp/wt5/20100503


 議論としてはひろゆきの方が論理的だね。問題点を明確にしようとしている。ただし、ものすごく2ch的な話の進め方だなぁとも思うけど。

「コストの問題なんですよ。」「いや、コストは一緒ですよね。」

 ひろゆきが言いたいことは、
「『山田太郎』という本当らしい名前が書いてあっても、その人は本当に『山田太郎』なのか、そもそもその書き込みを行ったのが『山田太郎』なのか、ネット上だけでは確認できない以上、山田太郎でも名無しでも同じ」
ということをなんだ(ろうと思う)けど、勝間さんには伝わっていない。
 勝間さんの中では「ネットに名前を書き込む場合は、みな自分の本当の名前を書き込む」という前提なのだろうか? それともトリップとかIDとかの話をしているのかな? 確かに名無しよりも何らかの名前を名乗っている方が、気持ちとしては落ち着くけど(それがゴミの話に繋がるのかな?)。ただ、「トレースをするか否かの判断をする際のコスト」という話をしだすと論点が変わってしまう。名前で書き込みを行っていれば、「山田太郎が誹謗中傷を書いている!」と判明するから、わざわざトレースをしなくても分かる場合がある、ということを言いたいのかな。でもそれ、山田太郎をリアルで知っているなら良いけど、知らなかったら「名無し」と変わらないんじゃないかな…。

「シャゾウ? 何ですかシャゾウって?」「だめだこれ(笑)。」

 なんというか、勝間さんは議論というよりディベートをしているようだ。難しそうな単語やたとえを持ち出して、相手をやり込めようとしているように見える。ひろゆきが「写像」という言葉を知らなかったときに「だめだこれ」というのは、まさにそう。本当に議論をしようとしているのなら、相手が少し言葉を知らなくても、別の言葉に置き換えてさっさと話を進めるべきだ。「写像」なんて、いくらでも他に言い様はあるんだし。そこを「だめだこれ」と言ってしまうのは、もともと勝間さんがひろゆきを見下していて、相手の印象を貶めようとするディベートテクニックにしか見えない。ひろゆきの言うとおり失礼だ。しかもそれに対する「違いますよ」に続く説明が、なんだか失礼発言をウヤムヤにしようとしているようにしか見えない。まず謝りましょうよ。
 正直、勝間さんはテレビに出始めたときから苦手なんだけど、その理由の一部として、こういう「なんでアナタは私の言いたいことが分からないの!?」という雰囲気が漂いまくっていること、その割には決して論理的ではなく「思いこみ」「直感」による話が多いことが挙げられる。以前にNHKの「真剣中年しゃべり場」を見て「この人、狭い人だなぁ」と思ったけれど、今回再認識した。

「なんで若い人が起業しなきゃいけないんですか?」

 「アメリカに比べて日本はベンチャー起業がしにくい」という話はよく聞く。それは確かにそうなんだろうな、と思う。そういう慣習がない。勝間さんなら「若者が入り込める隙間がない」と言うだろう。でも、「なんで若者が起業しなければならないのか」という意見は聞いたことがなかったので新鮮だった。でも、確かにそうだよね。若者ができないんだったら、できる奴がやればいい。若者に起業させようというのは、要は既存の企業にはもう受け皿がないから、あとは自分でなんとかしる!ということなのかな?
 政治・政策面で話をする勝間さんに対し、原理面で話をするひろゆき

「だって経済の問題より、水と安全って言う命の問題の方が先じゃないですか。」

 ここを見て、やっぱり勝間さんはディベータなんだと思った。


勝:あの、ちょっと分かってきたんですけど、
ひ:はいはい
勝:要はですね、ひろゆきさんそんなに社会全体仕組みとか構造とか、あるいは何がどういう因果関係があってどういうふうに動くとかあんまり興味ない。
 こういう、「あなたのことは理解できました」というような発言は博打だよね。当たっていればいいけど、当たっていなかったら恥ずかしいにも程がある。でも、こういうこと言う人って、「そんなことないよ」と否定されても「それはアナタが気付いていないだけだ」とか言うんだよね…(まぁ、たまたま当たる場合もあるけど)。こういう議論の場で「あなたのことが分かりました。あなたは〜な人ですね」という発言をするのは、相手に対して精神的に優位に立とうとするときに多い。周囲にも相手にも「相手を掌握している」というイメージを与えようとする。
 でも、それまでの話からすれば、ひろゆきは仕組みや因果関係に対して興味がないわけではなく、根本的・原理的なところに目を向けているだけで、それを勝間さんが理解できていないだけなんではないかと思う。

「最っ高にやりにくかったんです。」


勝:いや、違います。何か言ったときに対して、すごくそのひろゆきさん防衛してそれに対して反撃する、しかもそれを見下すような反撃なんですよ。

 オマエモナ

P.S.
 ひろゆきの態度も、けっして良いとはいえないけど。実際、議論の相手がこんな感じだったら僕もイラっとするだろう。でもこれ、ひろゆきがゲストだしね。ひろゆきの本来がああいう人ならば仕方ない。勝間さんが結局何をしたかったのかが良く分からない。自分に賛同してもらって、自分を補強してほしかったのかな。