仮想私事の原理式

この世はワタクシゴトのからみ合い

アニメ 蟲師


 今日で最終回だよ、アニメ蟲師……毎週、楽しみにしてたのに。

 アニメ蟲師は、神アニメだと思う。
 
 僕は原作ありのアニメの98%はロクなものがないと思っている。これは今まで見た原作ありアニメを見た結論だ。質の低い手抜き絵に幻滅させられたり、原作の世界を平気で壊すだけならまだしも「アニメならではの表現」だなんて勘違い発言も甚だしい言い訳をするものまである。それは解釈じゃなくて、表現と労力が追いつかなくなっただけの単なるお茶濁しだろ!と言いたくなる。スラムダンクとか幽遊白書なんて、原作のレベルが高いだけにアニメの落差が酷かったなぁ……(無論、アニメを原作とする小説・漫画もろくでもないものが多いんだが)
 
 しかし、このアニメの蟲師は、原作を超えた。原作の世界を壊さないどころか、原作(漫画)ではどうしても欠落せざるを得なかった「音」「声」に見事に付加した。空気感を感じさせる丁寧な作画や蟲師の世界の「間」も申し分ない。これでこそアニメにする価値があると言える。なによりも、観た後の気分が、たまらない。こういうの、「もののあわれ」とでも言うのだろうか。何と言っていいのか、言葉に表しにくい。強いて言えば「のわーん」という感じである(説明になっていない)。観てはいつものたうち回っている。思いっきりツボなのだ。「ハチクロ」のアニメも素晴らしいし、今年は当たり年だ。
 
 

 蟲師の世界は、単純な退治物語ではない。幸せなラストあり、哀しいラストありの物語なのだが、全体を通じて「淡々と進む流れ」のようなものを感じられる。その中で、人間は喜んだり悲しんだり翻弄されつつ生きていく。主人公のギンコが旅をしながら、そういう人たちの間を渡り歩いていくから、こちらも一層、相感じるのかもしれない。

 「蟲師」の世界では、常人には見えない「蟲」という動植物ではない「生命のもう一つの形」の存在がいるとされている。この「蟲」が時に怪現象を引き起こしたりする。物語の中で蟲は人間に害を為す事がある(というか、大抵の場合、害になってることが多い)。ただ、それは人間に害意を持っているわけではなく「ただ在るように在るだけ」なのだ。


「蟲は友人じゃない。ただの奇妙な隣人だ」(ギンコ)
という主人公の言葉が、物語の全てを物語っているように思う。
 蟲に限らず、生命体やその流れに善悪は無い。その抗いがたい流れの中で人間も生きている。そのことが、時になんとも言えない無常感や寂寥感を生み、時に大きく包まれている感覚を抱かせるのだと思う。

 まぁ、なんだ。観たほうが早い。今日のAM3:45のフジで最終回をやるので、興味ある人は人はを観てみるべし。